まつだい早稲田じょんのびクラブ、蒲生の棚田で“通い農”に挑戦

クラウドファンディングも開始。アイガモロボットなど新たな農法の実証実験も

新潟県十日町市・蒲生の棚田で、今年新たな風が吹いています。地域に根差した活動を続けてきた「まつだい早稲田じょんのびクラブ」の皆さんが、いよいよ「通い農」に本格的に挑戦を始めます。

「通い農」とは、都市部などに暮らしながらも定期的に農村に足を運び、農作業に関わる新しいライフスタイル。観光でも移住でもない“第三の関わり方”として、棚田という美しい舞台を通じて、地域と都市をゆるやかにつなげていく取り組みです。

「まつだい早稲田じょんのびクラブ」は、新潟県十日町市松代地域で活動する早稲田大学の学生サークルで、今年で設立20周年の節目を迎えています。
夏休みは教育ボランティア「松代塾Jrラッタッタ」や、冬休みは除雪ボランティア「雪国体験プロジェクト」を行い、長きに渡り松代地域の皆さんと深く関わってきた歴史があります。

そんな彼らが「通い農」に関心を持ったきっかけは、「地域で育てた野菜を、みんなで収穫して食べる」という、シンプルだけれど奥深い喜びに触れたからだといいます。

アイガモロボットによる除草・抑草の実証実験にも挑戦

今回、田植えに挑戦する田はつなぐ棚田遺産にも選ばれている蒲生の棚田の一枚で面積は約6畝(600㎡)。2023年の6月にチーム用賀による「ジョソササイズ」を実施しましたが、”ホタルイ”という雑草の繁殖力が特に強い田です。

※関連記事:蒲生の棚田で”ジョソササイズ” 広がる関係人口の輪(さとやまノート)

ホタルイ(写真は2023年の繁茂の様子)

そこで今回、アイガモロボットによる抑草の実証実験を行うことが決定しました。アイガモロボットは、自動で田んぼ全体を動き回り、樹脂製の羽が田んぼの泥をかき混ぜることで田を濁らせ、雑草の発生を抑制するものです。じょんのびクラブのメンバーの一人の鈴木颯太さんが早稲田大学の環境総合研究センター永井祐二 上級研究員(研究院教授)、中野健太郎 主任研究員らと、アイガモロボの環境保全効果を実証する環境教育プログラムを開発しており、今回の取り組みに至りました。

田植えに先駆けて、6月9日には中野さん、鈴木さんが蒲生の棚田を訪れ、アイガモロボットの試運転を行いました。田植え後(活着後)の初期除草・抑草に用いられるほか、田植え前の田の抑草や、稲の生育を妨げる土中のメタンガス除去にも効果を発揮しそうだと期待の声が挙がりました。

アイガモロボット

大雨の中、田植えを実施!

2025年6月14日、あいにくの大雨でしたが、「まつだい早稲田じょんのびクラブ」のメンバー9名と新潟市・十日町市から駆けつけた助っ人5名が、蒲生の棚田での田植えに挑みました。

最初に「棚田ステーション」にて本プロジェクトのリーダーの内田果那さんからプレゼンテーションを行い、詰めかけた報道陣からも沢山の質問が。その後、蒲生の棚田に移動して作業開始。小雨ならぬ本降りのなかでの作業は、決して楽ではありません。それでも参加者たちは、長靴と雨合羽に身を包み、ぬかるんだ田んぼに一歩一歩足を踏み入れていきました。

今回は田枠を用いた田植え。枠を転がし、苗を1本ずつ丁寧に植えていきます。途中、苗が不足するというトラブルが発生。様子を見に来てくれた蒲生集落の柳さんが苗を見つけてきてくれたりと、地域の方の助けに支えられながら田植えを進めていきます。

1本の種籾からできるお米は3,000粒とも言われています。これはご飯茶碗1杯分。そう考えると、枠を転がさなかった端の部分も植えずにはいられません。日暮れ近くまで作業を続け、無事に6畝を植えきることができました。

クラウドファンディングを開始、8月末まで

今年、「まつだい早稲田じょんのびクラブ」は、蒲生の棚田での通い農体験をより多くの人と共有し、持続可能な活動へと育てていくため、活動資金を集めるためのクラウドファンディングを立ち上げました。目標額は459,000円で、募集期間は8月末まで。資金の使い道は、交通費や宿泊費、その他2025年度の松代地域でのボランティア活動等の活動費など。支援者には自分たちが棚田で育てたお米をリターンとして用意しています。

クラウドファンディングページはこちら:越後松代の棚田保全へ! 現役早大生が「通い農」に挑戦!(forgood)

「まつだい早稲田じょんのびクラブ」について

「まつだい早稲田じょんのびクラブ」は、1978年の「松代セミナーハウス」開設以降、30年以上松代地域との交流がある早稲田大学公認のボランティアサークルで、2005年の発足以降、松代地域の蒲生集落を拠点に活動を続けてきました。2012年からは塾のない松代地域の小中学生に学習の機会を設けることを目的に松代塾Jr「ラッタッタ」がスタートし、現在も活動を続けています。

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