古道 松之山街道 −新潟県十日町市松代−
松之山街道は、北国街道の高田(上越市)と三国街道の塩沢宿(塩沢町)を結ぶおよそ19里余の街道でした。その一部区間が、1996(平成8)年に文化庁より「歴史の道百選」として選ばれました。
歩道・休憩場所が整備され、歴史に想いを馳せ、自然観察を楽しめる散策道としてよみがえりました。
地図と道のり
1996(平成8)年11月1日、文化庁が「歴史の道百選」に選んだ松之山街道の区間は、菅刈(すがかり)から薬師峠(十日町市の境界)までの区間です。散策道として、整備された区間は、
松代熊越山(くまごえやま)─ 太平(たいへい)間 770m、菅刈(すがかり)─ 犬伏(いぬぶし)間 2,354mとなっています。所要時間は、熊越山上り口 ─ 戊辰の役土墳 ─ 太平集落間が約30分、
太平集落 ─ 菅刈集落間(町道 会沢・菅刈・小荒戸線) 約15分、
菅刈集落 ─ 展望広場間 約30分、展望広場 ─ 犬伏城跡間 約30分、
犬伏城跡登り口 ─ 犬伏古道入口間 約30分です。いくつかのポイントの様子は、「古道を歩く」(別ウィンドウが開きます)をご覧下さい。
古道 松之山街道MAP
松之山街道の歴史
この古道は、高田(上越市)を発して、南魚沼郡の塩沢を経て関東へ通じる道で、安塚町や大島村、蒲生の山間地に一部原形を残しています。
現在の松代、松之山両町一帯は江戸時代に松之山郷と呼ばれましたが、それ以前鎌倉、室町、戦国の時代は松山保(まつやまほ)あるいは松山と呼ばれていました。
古道の歴史は古く、建武四年(1337)四月に足利尊氏から松山保(まつやまほ)の地頭に任じられた仁木義有(にきよしあり)の書状では、鎌倉幕府の重鎮北条義時の領地でした。このことから、古道としての長い歴史がうかがわれます。
この道が関東へ通じる道として、より重要さを増したのは、永禄三年(1560)より関東出陣を14回もくりかえした上杉謙信とそのあとを継いだ景勝の時代です。
謙信は、関東管領(かんれい)上杉憲政を助けて小田原北条氏と戦いました。その後謙信は、上杉の家名と管領職をひきつぎました。
天正六(1578)年、謙信が突如死去したのち、後継者争いで越後は大争乱となり、六日町の坂戸城と春日山を結ぶ郷土の古道の村々も騒然となりました。この戦さは上杉景勝の勝利で終わりますが、慶長三年(1598)一月をもって戦さと軍用道はなくなります。
その後、慶長八(1603)年、徳川幕府政治がはじまり、この地域も大名支配が続きました。高田藩主 松平光長が越後騒動で領地を没収されるまでには、街道の整備が進み、宿場制度が着々と整えられました。戦国期の犬伏村は武将その他兵卒の住む村でしたが、この頃になると農民の村となり、犬伏、松代、蒲生村は宿駅村に指定されました。また、松代には陣屋(代官所)も設置されていました。
また、この頃になると、ようやく一般庶民も自由に旅に出かけるようになりました。
現松之山町の年番(ねんばん)庄屋家資料に、松之山並びに魚沼、刈羽、三島辺りより伊勢参宮、五智、善光寺参詣または病気療養(湯治)の名目で通行人の報告書があります。寛保三、延享二年(いづれも1740年代)に年間130人から180人ぐらいが移動しています。
さきの松平光長が領地を没収されると、郷土は徳川幕府の直接支配をうけるようになり代官所も廃止されました。
しかし、江戸時代、代官や巡検使の視察や時宗、遊行上人一行の通過の際には宿駅村だけではなく郷内全村の負担がかかりました。
松代の歴史資料
松苧神社
松苧神社は大同二(807)年、坂上田村麻呂が建立したと伝えられる古社です。
上杉謙信をはじめとする戦国武将たちの祈願所であったとも伝えられています。
木造茅葺きの簡素なたたずまいで、県内最古の建築物として、国の重要文化財に指定されています。
今でも信仰を集めており、地域には「七ツ参り」という、数え七歳の男の子が参拝する行事が残っています。
謙信公軍配小刀
松苧神社には、謙信寄進の軍配と小刀が残されております。
小刀は、「備州長船兼光」の銘で、長さ45センチ、日の丸の軍配は長さ49.1センチのものです。
関東への出陣の際に、戦勝を祈願して奉納したものであると思われます。
松代町の重要文化財に指定されています。
松代城
松代城は、犬伏城と同様、街道を見守る山城でした。
四方に開け、眼下に町の中心部、東に犬伏城跡、西に室野(むろの)城跡、北に蒲生(かもう)城跡が望めます。
現在、 標高384mの城山山頂にそびえる松代城は、昭和56年に建てられたものです。
天守閣には展望台があり、魚沼の山の連なりまで360度の眺望を楽しむことが出来ます。
まつだい郷土資料館
資料館は、昭和10年頃に建てられた入母屋(いりもや)欅造り農家を利用した資料館です。
縄文時代の遺跡出土品や中世の古文書、雪国の民具や農具などが展示されております。
※それぞれの施設へのアクセス、開館時間などは、十日町市観光協会HPでご確認下さい。
リンク
● 十日町市観光協会
● 伊沢和紙工房 欅
犬伏地区に伝わる「伊沢和紙」の紙すき体験が出来る工房です。
お問い合わせ先
□十日町市教育委員会 □松代公民館 mail to: ms-kominkan@city.tokamachi.lg.jp(@を半角にしてください) 〒942-1526 新潟県十日町市松代2095-1 松代総合センター内 電話:025-597-2301 FAX:025-597-3905 | |