【後編】松代移住体験ツアーの企画のナカにこめられているもの。

なぜ、まつだいで移住体験ツアーをするのか?

前編】では、とても概略的というか、ツアーの外皮部分をお伝えしてきましたが…
その”内側”にあるもの、この移住体験ツアーの”芯”になるものがあります。

この地域の本当の魅力は、”暮らしを創る”という意識が空気のように在るということ

だと私は考えています。
アウトドアやレジャーや趣味の家庭菜園ではなく、日々の暮らしの中で当たり前のように”衣食住”を自分たちで賄ってきた暮らしの積み重ねがここにはあり、ただそれが「空気」のように漂っていること。これがミソです。

空気は目に見えないし普段はそこに存在することも忘れてしまいそうだけど、なくてはならないもの。
豊かではあるけれども、ある面では厳しい里山の自然地域に囲まれたここ、松代地域の暮らしでは、「ないものは自然の力を借りて、自分たちで賄う」という土壌が育まれていると感じます。

色々なものが便利にそろうようになった現代において、それは一見不必要なように見えますが、
買えば済む、消費だけしていれば豊かでいられる という価値観がほんのしたきっかけで崩れてしまったとき、
私たちが生きていくために、ほんとうに無くしてはならないもの なのではないかと考えています。

話が大きくなってしまいましたが…
この移住体験ツアーでは、風光明媚なスポットを巡るとか(結果的にどこの地域も風光明媚なのですが…)
決められた農作業体験をするとか、(結果的にきゅうりが採れすぎていれば収穫が必要になるかもですが…)
外向きに整えられたイベントに参加するとか(結果的に集落の行事に突入することはあり得ますが…)

そうではない、「そこに住む人がどういう暮らしをしているのか」「醸し出される空気」を
少しでも味わってもらえるような時間になれば…と感じています。

だからこそ、何回も通っていただく想定でツアーを組んでいます。
観光でおいしいところだけつまみ食いもいいけれど、本当の面白さは、通ってこそだんだん分かってくるものだと
関東からの移住を経験した私の目線モリモリで作り上げた企画です。

私自身がこの松代に訪れたきっかけ自体は、大地の芸術祭の観光目的でしたが、
地域の活動に参加させていただく機会を得たことで、ここの人たちの暮らしそのものに惚れ込んでしまい、
私もこういう風に生きたい!」と強く感じたことが移住の大きな後押しでした。

ひとりよがりかもしれませんが、それが紛れもない想いです。
移住という人生の岐路を考え始めている方に、誠意をもって応えたい、それが移住を悩んでいた過去の自分への贈り物にもなり、それが新しい仲間を呼び込むことができれば、こんなに嬉しいことはないです。

私が感じているこの地域の魅力は、空気のようなものなので、長くここにいると意識しづらくなります。
だからこそ、一度ソトから来た方々のまっさらな目で見つめなおしていただくことで、改めて気づくこともあると思います。

「この豪雪がなければね…」なんて住民の方の声もありますが、その雪さえも、見方を変えればこの地域の恵みを土台から支えてくれているものともいえます。その”見え方”を変えるひとつの小さなきっかけに、この移住体験ツアーが成ればと、夢見てしまっているのです。



地域から人が減り、子どもが減り、家が減り、学校がなくなり、店がなくなり、こども会や青年会や婦人会がなくなり、行事がなくなり…そうやって少しずつ縮小していく地域の現実がたしかにこの地域には横たわっています。
それはこの地域に原因があることもあれば、日本社会が起こしている歪みの影響であるかもしれないのに…
自信とか、誇りとか、愛着とか…そういったものが少しずつ削られ、小さくなっている?そんな風に思える時があります。

そうした変化を一朝一夕に、ひとりの力でどうにかしていけるなんてことは到底思わないのですが、でも、そうした地域の負のイメージをこの地域で育っていく、いつか羽ばたいていき、また戻ってきてくれるかもしれない未来の世代たちにも引継いでいってしまってよいのだろうか…とふと考えます。

私はもともとヨソモノですが、ヨソモノだからこそ、この地域について、語れる言葉もあると信じています。
松代地域には、私よりもよっぽど色々な形で活躍されている先輩たちが沢山います。

・”ソト”の目線を持って、地域で動かれている方、
・地域を築いてきた皆さん
・新たにここに加わっていこうとする方々
ここが掛け合わさることで、
「ここも、捨てたもんじゃないどころか、自慢できるふるさとなんだ。」と
大人も子どもも、自信を持っていえる雰囲気ができていったらいいな、と感じます。

移住に”愛”を。

とはいえ、移住のことを取り扱っていると、

ソトにばかりお金や目を向けないで、もっと地域の中のことを…

という声も聞こえてきそうです。当然といえば当然なのですが・・・

ただ、自分自身が右も左もわからない、縄ひとつ満足に結べないへっぽこの状態でも、ここまで生きてこられたことには、地域の方々の「こいつ、なんとかしてやんなきゃ」という力添え無しには叶わなかったと思うのです。

移住には大きな決断が必要です。ありったけの勇気を振り絞って、という方もいます。(自分もそう)
そこには、誠意と”愛”を持って応えたいと思います。

ただ、人を受け入れるにも大きな決断が必要です。そこには大なり小なりの苦労があるはず。
それでも、人を迎え入れるためのアクションを起こそうとしてくれる地域にも、誠意と”愛”をもって応えたいです。

これは完全に、先日参加してきた移住定住セミナーの講師である 株式会社 きら星さんの受け売りですが…

それぐらい熱く心動かされる内容だったのです。

だんだん、風呂敷が広がってきましたが、

つまるところ、”移住”には相互理解が必要で、そのためには短い時間では足りないよね、
直接会わないと話は始まらないよね、ということ!

今回の事業を通して、私自身、多くの方とお話する機会を得て、またこの地域に対する見方が深まってくるのを感じています。まだまだ話足りないし、言葉足らずなところもあり、多方面にご迷惑をおかけすることもありますが…

大切なのは、この事業の成功うんぬんではなく、ここに来る方、地域の住まうひとの幸せにつながるかどうか、
ここに尽きると思います。

だからこそ、この「移住体験ツアー」の芯となる部分を記しておく必要があると思いました。

こんなところまで読んでくださる方がいるかどうかはわかりませんが、
少しでも、いまやっていることが、この地域を未来へ繋いでいくほんの一筋の糸のようになっていけますように・・・

そんな思いをつづってみました。

もしもこの記事を読んで、興味を持ってくださった方が万一いらっしゃれば、ぜひご一報ください。
情報のシェアは大歓迎ですし、勿論別の考えをつづっていただくでも構いません。
この地域に”ほんとうに、どういう意味で移住が必要なのか?”は不断に考えつづけていきます。

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